Japan Vintage Watch Day 2026でのマリオ・レンケ氏とワンチャーウォッチのスタッフ

Japan Vintage Watch Day 2026:ワンチャー初の海外イベント参加レポート

投稿者 ワンチャーウォッチ 日時

日本のヴィンテージ時計、そして2年越しの友情が、日本の小さな時計ブランドを初めてドイツへと連れて行ってくれました。

廣田陽子氏の漆工房から、Japan Vintage Watch Day 2026へ

Japan Vintage Watch Day 2026のロゴ

2026年9月下旬、ドイツの町ミュールタールにあるWackerfabrik(ヴァッカーファブリーク)に、数百本の日本のヴィンテージ時計が集まりました。ドイツ国内ではなかなか見つからない時計もたくさん並びました。Japanese Microbrandsが主催したJapan Vintage Watch Day 2026は、「日本のヴィンテージ時計が好きな人のための1日」というシンプルな考えから生まれたイベントです。イベント限定の時計の販売、時計技師によるその場でのサービス、そして新しいコレクターズクラブの発足も行われました。

ワンチャーウォッチにとって、この日はもうひとつ特別な意味がありました。ワンチャーにとって初めての、海外でのイベント参加だったのです。日本の外で時計を展示し、コレクターの皆さんと直接顔を合わせたのは、これが初めてでした。けれども、漆文字盤を手がける小さな時計ブランドがドイツの会場に立つまでの物語は、ミュールタールで始まったわけではありません。始まりは、ワンチャーの漆職人の工房でした。

Japan Vintage Watch Day 2026とは

Japan Vintage Watch Day 2026は、2026年9月26日10:00〜18:00、ミュールタールのWackerfabrik(Ober-Ramstädter-Str. 96 E)で開催されました。主催のJapanese Microbrandsは、ヴィンテージから現行品まで、日本の時計づくりに特化した販売店であり、コミュニティでもあります。

イベントの中心は、豊富な品ぞろえです。ドイツではめったに出回らない日本のヴィンテージ時計が数百本並びました。さらに、Japanese Microbrandsはイベント限定で36本のヴィンテージ時計を特別に販売し、会場はちょっとした宝探しのような雰囲気になりました。

時計そのもの以外にも、コレクター向けのサービスが用意されました。会場での時計技師によるサービス、タイムグラファーによる無料の精度チェック、磁気抜き、ストラップの相談、特定のモデルを探している方向けの日本の時計探しサービス、そして日本での修理やレストアの窓口の紹介などです。ヴィンテージ時計のプレゼント企画や、日本の時計づくりを幅広く楽しむためのコミュニティ「Japanese Microbrands Club」の正式な立ち上げも行われました。

日本の時計文化を祝う1日

こうしたイベントに意味があるのは、日本の時計づくりには2つの物語が並んで存在しているからです。ひとつはヴィンテージの物語。何十年にもわたる自社ムーブメントの開発から生まれた時計たちで、その多くはヨーロッパのコレクターの手に渡る機会があまりありませんでした。もうひとつは、日本の独立系ブランドによる新しい物語です。規模は小さく、主流の流通とは違う場所で活動していることが少なくありません。

ヴィンテージ時計を中心にしたこのイベントは、日本の時計業界の全体像を見せようとしているわけではありません。その強みは、もっと的を絞ったところにあります。手に入りにくい国で、きちんと記録の残った貴重なヴィンテージ時計を、その価値がわかる人たちの目の前に直接届けること。そして、そうした場には自然と、同じ時代に生まれている日本の独立系の時計づくりにも関心が集まります。

Japan Vintage Watch Dayでのワンチャーウォッチ

ワンチャーはJapan Vintage Watch Day 2026に実際に参加し、ミュールタールの会場ではジリアーノ・ロマーノ(Jiliano Romano)がブランドを代表して皆さんをお迎えしました。日本を拠点に、手仕事の漆文字盤を軸にしている時計ブランドにとって、オンラインの写真でワンチャーを知ってもらうことと、Wackerfabrikの照明の下で漆の文字盤を手に取り、どうやってつくられたのかを質問してもらうことには、大きな違いがあります。

それこそが、参加した理由でした。ヴィンテージ時計を目当てに訪れた方々に、同じ空間で日本の現代のマイクロブランドの時計も見ていただく。売り込みのためではなく、イベント全体のテーマである「日本の時計づくり」についての同じ会話の一部として。短い期間でも実際にドイツにいたことで、ワンチャーの時計は、オンラインの商品ページとしてではなく、手に取って裏返して眺められる「もの」として、初めて日本の外に存在することができました。

Japan Vintage Watch Day 2026の会場に展示されたワンチャーの腕時計

Japan Vintage Watch Day 2026の会場でワンチャーウォッチを紹介するジリアーノ・ロマーノ

日本で始まった関係

ジリアーノがJapan Vintage Watch Dayで再会したのは、ワンチャーがよく知る人物、Japanese Microbrandsの創業者でCEOのマリオ・レンケ氏です。マリオ氏とワンチャーの関係は、2025年5月、ワンチャーの漆文字盤の時計を手がける漆芸家のひとり、廣田陽子氏の工房をワンチャーとともに訪ねたことに始まります。

大分の漆芸家・廣田陽子氏の工房を訪れたマリオ・レンケ氏

小さなことですが、この関係がどのように生まれたのかをよく表しています。Japanese Microbrandsがワンチャーの販売店になる前、取引の話が出るよりも前に、漆文字盤が実際にどうつくられるのかを一緒に見に行った。それは営業のための訪問ではなく、手仕事への純粋な好奇心から生まれたものでした。そしてこの訪問が、その後の関係の原点になりました。

Japan Vintage Watch Day 2026でのジリアーノ・ロマーノとマリオ・レンケ氏

2025年、廣田陽子氏の工房を訪れたマリオ・レンケ氏

日本の漆の手仕事から、世界へ広がるパートナーシップ

その訪問以来、Japanese Microbrandsはワンチャーウォッチ初の「グローバル正規販売店(Global Authorized Dealer)」になりました。この称号を持つパートナーは、世界でここが初めてです。これまで主に直接販売をしてきた日本の小さな時計ブランドにとって、これは大きな変化です。日本国外のコレクターの皆さんにとっても、日本の時計づくりに特化し、ワンチャーの手仕事を自分の目で見た人が運営する、頼れる窓口ができたことになります。

ドリームウォッチ・ブラックムーンの漆文字盤を手がける廣田陽子氏

廣田陽子氏がマリオ・レンケ氏への贈り物として手がけた特別なドリームウォッチ・金虎

廣田陽子氏がマリオ・レンケ氏への贈り物として手がけた、特別なドリームウォッチ・金虎

この関係は、日本の独立系の時計づくりと、それを海外で応援するコレクターとをつなぐものについても教えてくれます。漆のような手仕事は、商品ページだけではなかなか伝わりません。実物を間近で見て、その良さを自分の言葉で伝えられる人を通して広がっていくものです。ワンチャーとJapanese Microbrandsの関係が担っているのは、まさにその役割です。

ワンチャー初の海外イベント参加

Japan Vintage Watch Day 2026は、ワンチャーウォッチにとって初めての海外でのイベント参加でした。ブランドとして日本の外のイベントに実際に足を運び、時計を展示したのは今回が初めてです。ワンチャーのようなブランドにとって、実際の場所で開かれるイベントは、大きな会社とはまた違った意味を持ちます。

Japan Vintage Watch Day 2026の会場に並ぶワンチャーの腕時計

特に漆の文字盤は、光の当たり方や持つ人の手によって表情が変わります。漆の仕上げの奥行きは、写真ではなかなか伝えきれません。会場にいれば、コレクターの皆さんにその仕上げを直接見ていただき、職人と実際に仕事をしているスタッフに質問していただけます。取引を超えたブランドとの関係も生まれます。日本を拠点とする独立系の小さなブランドにとって、海外のコレクターと直接ふれあえる機会は多くありません。だからこそ、この初めてのイベントには大きな意味がありました。

ワンチャーウォッチのドリームウォッチの漆文字盤

日本のマイクロブランドが大切な理由

Japan Vintage Watch Dayのようなイベントは、まだ多くのコレクターが十分に知らない世界、つまり日本のマイクロブランドへの入り口にもなります。数人ほどで運営する小さな独立系のブランドで、ときには、日本の大きな時計メーカーを長年支えてきたのと同じ地域の職人たちと直接仕事をしていることもあります。

その違いは規模ではなく、個性にあります。日本のマイクロブランドは、ひとつの伝統技法や、特定の地域の工芸、あるいは大きな会社では取り組みにくいデザインに、思い切って力を注ぐことができます。ワンチャーが取り組む漆もそのひとつです。そして、ほかにも多くの日本の小さなブランドが、それぞれのやり方で同じような挑戦をしています。ワンチャーはその中のひとつの例にすぎません。特定の手仕事と、特定の職人たちとのつながりを軸に、ブランドの個性を築いてきたブランドです。

Japan Vintage Watch Day 2026の会場の様子

ワンチャーの漆時計

漆は、日本で何百年もの歴史を持つ素材であり、技法です。食器から建築まで、さまざまなものに使われてきた漆が、やがて腕時計の文字盤にも使われるようになりました。漆の仕事は、時間をかけた手作業です。何年も修業を積んだ職人が、漆を塗っては乾かす工程を重ねていきます。

ワンチャーの漆時計を手がける漆芸家であり、マリオ氏が訪ねた廣田陽子氏も、その伝統を受け継ぐひとりです。手作業でつくるからこそ、文字盤には一つひとつ小さな違いが生まれます。それもまた、漆の時計にじっくり向き合いたくなる理由のひとつです。ヴィンテージ時計が好きな方にとって、ワンチャーの漆文字盤の腕時計は、次に見てみたくなる存在かもしれません。時代は違っても、根気と手仕事を大切にする点では同じ価値観の上に立つ、日本の時計づくりです。

ドリームウォッチ・金箔の漆文字盤を手がける廣田陽子氏

仕上がったワンチャーの金箔の漆文字盤のクローズアップ

日本のヴィンテージ時計から、現代の日本の手仕事へ

ヴィンテージの日本の時計は、ひとつの歴史を今に伝えています。何十年にもわたる自社ムーブメント開発の歩みが、その価値を知るコレクターによって一本ずつ探し求められています。一方、現代の日本のマイクロブランドは、それとつながりながらも少し違うことをしています。同じ時計文化を新しく解釈し直し、ときには時計産業よりも古い漆のような伝統工芸を取り入れているのです。

どちらかがどちらかに取って代わるものではありません。希少なヴィンテージ時計も、廣田陽子氏の工房で手仕事によって仕上げられた文字盤も、どちらも同じ日本のものづくりの文化を表しています。一方は過去から受け継がれたもの、もう一方は今もつくられ続けているものです。Japan Vintage Watch Day 2026は、その両方を同じ空間に並べてくれました。それこそが、この物語をいちばん正直に伝える方法なのかもしれません。

ワンチャーウォッチをもっと知る

Japan Vintage Watch Dayをきっかけに日本のヴィンテージ時計に興味を持った方は、ぜひワンチャーの漆時計ものぞいてみてください。同じ日本の時計文化の、小さくて独立した、もうひとつの側面です。

Japan Vintage Watch Day 2026で展示されたワンチャーの漆文字盤の腕時計

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執筆者 ワンチャーウォッチ

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