時計好きの方なら、本当の上質さは「手仕事」「受け継がれてきた技」「長く使えること」にあるとご存じだと思います。そしてこの考え方は、時計だけでなく、毎日持ち歩く小物にもそのまま当てはまります。
今回ご紹介するのは、そんな思いから生まれたプロジェクトです。大分県豊後高田市で手づくりする、日本の鹿革を使ったレザーグッズ。オイルレザーの技術に定評のある日本の革工房、CAVAN(キャバン)との共同制作です。

流行を追って使い捨てるものでも、大量生産の革製品でもありません。シンプルで使いやすく、何十年もかけて美しく育っていく、日本の静かな手仕事です。

なぜ日本の鹿革なのか:歴史と個性のある素材
鹿革は、革の世界の中でも少し特別な存在です。

鎧(よろい)から儀式の装束まで、鹿革は日本で長いあいだ大切に使われてきました。その理由は次のような特長にあります。
- とてもやわらかい
- 自然な伸びとしなやかさがある
- やさしい手ざわりなのに丈夫
- 水分に強い
牛革は最初は硬く、使ううちになじんでいきます。一方、鹿革ははじめからしなやかで、しかも丈夫です。動きに合わせて曲がり、手になじむ日用品には、とても心地よい革です。

兵庫県たつの市の播州レザーの鹿革
このプロジェクトでは、兵庫県たつの市を拠点とする播州レザーの鹿革を選びました。たつの市を含む播州地域は、古くから皮革づくりが盛んな土地として知られています。

オイルレザーの魅力:深い色、豊かな風合い、自然な経年変化
CAVANとともに選んだのは、たっぷりとオイルを含ませた鹿革です。天然のオイルを繊維の奥まで染み込ませる、手間のかかるなめし方法でつくられています。

CAVANによると、この革には次のような特長があります。
- 大量の天然オイルを、時間をかけて均一に染み込ませている
- やわらかさ、丈夫さ、水への強さに優れている
- 厚い塗装や顔料を使わないため、本来の銀面や毛穴、自然な模様がそのまま残る
- 1枚ごとに異なる、自然な美しさがある
- 使うほどにオイルが表面に上がり、色が深まり、なめらかでツヤのある表情になる

つまり、生きている革です。変わっていく革であり、持ち主の時間を刻んでいく革です。
ブロンズケースの経年変化や、ヴィンテージ文字盤の味わいを楽しむ時計好きの方には、きっとなじみのある感覚だと思います。
豊後高田の古民家で、ゆっくりと手づくり
革は播州から届きますが、製作をしているのは都会の喧騒から離れた場所です。大分県豊後高田市の、改装した古民家の工房でつくられています。

この古民家の工房では、
- 少人数の革職人が、すべて手作業で製作しています
- 裁断、漉き、縫製、仕上げまで、伝統的な技法で一つひとつ仕上げています
- 品質を大切にするため、あえて生産量を抑えています
- 流れ作業ではなく、ひとつひとつを個別の作品として扱っています

大量生産とは正反対の、ゆっくりとしたものづくりです。どこで、誰が、どんな思いでつくったのか。そうした背景を大切にしたい方にこそ、手に取っていただきたい革小物です。

シンプルな美しさと、日本らしい実用性
デザインの考え方はシンプルです。
余分なものを省き、残ったものを磨く。
ロゴや金具、装飾的なステッチで飾るのではなく、素材そのものの魅力を生かしています。
- すっきりとしたシルエット
- やわらかく自然な風合い
- 控えめなライン
- ポケットやパーツの一つひとつに、きちんと役割がある実用性
- さりげない上品さ

財布、カードケース、ポーチ、ストラップ、バッグ。時計やペンなど毎日の持ち物のそばで、美しく年を重ねていく道具を目指しました。
長く使えることを、いちばん大切に
長く使える素材、受け継がれてきた手仕事を選ぶ方が増えています。この鹿革のレザーグッズも、そうした選び方に応えるものです。
- 季節の流行に合わせたデザインではありません
- はがれたり割れたりする合成コーティングに頼っていません
- 使う年月とともに、味わいが増していきます
- 持ち主だけの経年変化が生まれ、同じ表情に育つものはありません
- 修理やオイルの補充などのお手入れをしながら、長く使い続けられます
これは、機械式時計が愛される理由とよく似ています。メンテナンスをしながら、世代を超えて使い続ける道具です。
時計好きの方にこそ使っていただきたい理由
旅行用の時計ケースの多くは、かさばって重く、荷物の中で場所をとります。大きさばかりが優先され、持ち歩くのがかえって面倒になることもあります。
そこで、時計をしっかり守りながら、軽くて持ち運びやすく、見た目も美しい革の時計ケースをつくりました。厚みのある革が擦り傷や軽い衝撃から時計を守り、それでいてどこにでも気軽に持っていける軽さです。時計を2本収納でき、重さは50グラム以下。荷物の中でもほとんど気になりません。
コンパクトなので、スーツケースにもバッグにもすっきり収まります。革が、旅先での擦り傷やへこみから時計を守ってくれます。
実用的で、上品で、旅にぴったり。大切な時計を、どこへでも安心して連れて行けるケースです。

新しい一歩:日本の知られざる革の手仕事を届ける
CAVAN、そして大分の職人たちとの今回の取り組みは、まだあまり知られていない日本の革の手仕事を、より多くの方に届けるための新しい一歩です。
これらは単なる小物ではありません。自然が生み、職人が磨き、何十年もあなたに寄り添うようにデザインした道具です。
すぐに消費して手放すのではなく、意味のあるものを長く持つ。そんな暮らし方への回帰でもあります。
まとめ:声高なブランドより、静かな上質さを選ぶ方へ
主張しすぎない手仕事、時間とともに美しくなる素材、自然と職人の手を大切にしたデザイン。そうしたものに惹かれる方には、大分で手づくりされたこの鹿革のレザーグッズがきっと響くはずです。
ゆっくり、丁寧に、誠実に。たくさん買うよりも、良いものを選びたい方のための、日本の革です。
時計のストラップをお探しの方は、カーフレザーストラップやスエードレザーストラップもご覧ください。