腕時計は、時刻を知るための道具であると同時に、ものづくりや文化、伝統を映すものでもあります。とくに日本では、細やかな職人の技と自然を愛でる美意識が、時計のデザインにも表れてきました。そのひとつが「石目模様」の腕時計ケースです。金属の表面に自然の石のような表情を写し取り、ケースそのものを小さな風景に変えるデザインです。

日本の金属彫刻の伝統
金属に細かな模様を刻む技は、日本の文化の中で長く受け継がれてきました。侍の刀の鍔(つば)を飾る彫刻や、茶道具にほどこされた繊細な象嵌など、日本には金属を表現の素材として扱う伝統があります。
この考え方は腕時計づくりにも受け継がれています。日本の高級時計の中には、プラチナのケースに手彫りで石の表面のような模様を刻んだモデルもあり、日本の山や岩肌を思わせる表情が、自然と時間、そして人の手仕事のつながりを感じさせます。
グルカ 岩紋:石目模様をいまの感覚で

手彫りの伝統的な技法が受け継がれる一方で、石目模様をそれぞれのやり方で表現する時計づくりも生まれています。ワンチャーの「グルカ 岩紋(がんもん)」もそのひとつです。
グルカ 岩紋のケースは、金属加工の職人が超硬バー(カーバイド製の回転工具)を使い、一本ずつ手作業で石目模様を仕上げています。手作業のため模様は一本ごとに異なり、まったく同じものは二つとありません。石目模様を大切にしてきた日本の彫刻の考え方を、ワンチャーらしい形で表現した1本です。

石目模様に込められた意味
日本では昔から、不完全なものの中に美しさを見いだしてきました。移ろいゆくもの、不揃いなものを味わう「侘び寂び」の考え方です。石目模様のケースは、長い年月と風雨によって形づくられた岩のように、自然に風化したような表情を持ち、この美意識をそのまま形にしています。
石目模様の着想の多くは、日本の山々や神社、古い禅寺の庭から生まれています。どれも時の流れを感じさせる風景で、時を刻む腕時計ととても相性のよいモチーフです。
時計のデザインの歴史に興味がある方は、斜め文字盤(傾斜文字盤)腕時計の歴史もあわせてご覧ください。ワンチャーの軽量なフィールドウォッチ「グルカ」もご紹介しています。