山へ出かける前に、お気に入りの腕時計を着ける。バックルを留める感触、手首に伝わる重み、靴ひもを結ぶ間も静かに時を刻む音。そんな時間にはちょっとした楽しさがあります。でも、ひとつだけ覚えておいてください。どんな腕時計でも山道に向いているわけではありません。
ドレスウォッチはお留守番
ドレスウォッチは美しく、上品です。そして正直なところ、繊細でもあります。
すっきりとしたライン、鏡のように磨き上げたケースやベゼルは、シャンデリアの光の下で輝くように作られています。木漏れ日の山道のためではありません。鏡面仕上げ(ポリッシュ仕上げ)は、すり傷や小傷がとても目立ちやすい仕上げです。岩や木の枝、ザックの金具に一度こすっただけで、輝く表面にくっきりと傷が残ってしまいます。
ドレスウォッチの魅力である磨き上げられた美しさこそが、予測できないアウトドアには向かない理由なのです。

山にはフィールドウォッチを
そこで頼りになるのがフィールドウォッチです。丈夫で信頼でき、山歩きでの多少の衝撃も想定して作られたフィールドウォッチは、アウトドアの頼もしい相棒です。大きな違いのひとつが、ヘアライン仕上げ(ブラッシュ仕上げ)のステンレススチールです。
ヘアライン仕上げは、鏡面仕上げに比べて傷がずっと目立ちにくい仕上げです。細かな筋目が光をやわらかく散らし、小さなすり傷をなじませてくれます。週末の山歩きから帰ってきても、腕時計がボロボロに見える心配はぐっと少なくなります。
フィールドウォッチは、読みやすさ、衝撃への強さ、丈夫さを重視して作られていることが多い腕時計です。岩場を登るときや、星空の下でキャンプをするときに、まさに欲しい性質です。

2つの仕上げを比べてみる:フリューゲルとドリームウォッチ
この違いを実際の時計で見てみましょう。日本の伝統美と道具としての実用性、どちらも大切にしているワンチャーの2本です。
- フリューゲル:空と冒険から着想を得たフリューゲルは、ヘアライン仕上げのステンレススチールケースを採用しています。見た目だけでなく、出かけるための時計です。ヘアライン仕上げで傷が目立ちにくく、実用的なデザインは街でも森の小道でも主張しすぎません。気持ちも形も、まさにフィールドウォッチです。
- ドリームウォッチ(漆文字盤):こちらは腕に着けるアートです。鏡面仕上げのケースと伝統的な漆塗りの文字盤を備え、ぬかるんだ登山口ではなく、きちんとした食事の席に着けていきたい腕時計です。傷をつけるより、眺めて楽しみたい1本です。漆について詳しくは「漆とは」をご覧ください。
輝く場面と、冒険する場面
輝くための時間と、たくましく過ごす時間があります。この2つを混同しないことが大切です。
結婚式にはドレスウォッチを。山にはフィールドウォッチを。
腕時計は、見た目だけでなく機能の面でも、その場面に合ったものを選びたいものです。美しい鏡面仕上げのケースを山で傷つけてしまうのは、革のローファーで登山をするようなもの。写真映えはするかもしれませんが、あとで後悔することになります。
次に山歩きの準備をするときは、少しだけ考えてみてください。その腕時計は、自然の中へ連れて行くために作られていますか。もし違うなら、フリューゲルのように、あなたと同じくらい冒険好きな1本を選んでみてはいかがでしょうか。
